私の師匠の話 その2

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こんにちは。キラです。

以前の記事

私には師匠と呼ぶ人がが

2人いる話をしました。

前回は仕事の師匠の話をしました。

今回はもう一人の師匠の話です。

陶芸の師匠です。

目次

1.師匠との出会い

陶芸の師匠との出会いは

かつて勤めていた

中学校です。

20年以上も前です。

師匠はそこの業務員として

勤められていた方でした。

私が勤務した時には

すでに退職されていました。

退職されてからも交流のあった

以前の記事で書いた事務の先生と

他何人かの教師で

お宅にお邪魔したのが最初でした。

先生のつくった器で

奥さんの作ってくださった

お食事をいただきました。

そのときは器の良し悪しは

あまりわかりませんでしたが

どの器も見たことがない

感じのものでした。

私が日常に使っていたものと

違っていたからです。

それらの器は

料理によく映えていました。

料理もとても美味しく

感じられました。

食事の後

お湯飲みでお茶を頂きました。

大振りの湯飲みが

立派な木の茶托に乗っていて

とても優雅で良い姿でした。

持つと手にしっくりと馴染んで

厚みがあるので

いつもなら熱くて持てない私でも

手で包み込むように待って

湯飲みの地肌を感じながら

ゆっくり飲むことができました。

その湯飲みが

とても欲しくなりました。

師匠の家には

いくつか作品が飾ってあって

欲しいと言う人に譲っていました。

師匠の作品は伝統的な感じなのに

普段見かけるものは違う感じで

独創的に見えました。

陶器のことはよくわからない私でも

魅力的に見えました。

師匠に

お湯飲みが気に入ったので

同じようなものが

欲しいと言ったら

「できたら連絡するから

見に来なさい。」

と言ってくれました。

2.師匠について

師匠は気難しい感じで

厳しいことをビシッと言う人でしたが

私と友達はしかられながらも

よく可愛がってもらいました。

師匠がいつ頃から

陶芸をされていたのかは

詳しく聞いたことはありませんが

陶芸を始められてすぐ

一度の応募で

日展で入賞されだそうです。

その作品は大きな壺でした。

その時芸術家の世界を知り

自分の作品作りの心と

相入れないものを感じられたらしく

それ以降作品を

コンクールのようなものに

出品することなく

気の向くまま

材料にもこだわり

自分が納得する作品を

作り続けました。

師匠は芸術品を作ることより

使う人の気もちを大切にして

作品を作る人でした。

気に入ってくれた人に

日常で使ってもらいたいと

本当に材料費くらいの値段で

譲っていました。

お皿やおかずを盛ったりする器や

お湯飲みや花瓶を作っていました。

以前の記事で書いた事務の先生は

高級住宅街の

お屋敷のような家に住んでいますが

芸術に造詣が深く

国内はもとより

外国の美術館にも

よく足を運ぶ人なので

目が肥えています。

彼女は芸術作品を

多く収集していますが

師匠の器をたくさん持っていました。

師匠が一番力を入れていたのが 

抹茶茶碗で

これは同じものを何個も作って

うまくできたもの一個を残すので

他の器より高価でしたが

有名な茶道の流派のお家元が気に入って

買っていました。

有名なお寺や庭園で行われるお茶会に

お茶碗を貸し出すこともありました。

見る人が見たら

師匠の器はそれほど

芸術品として優れていたのです。

師匠は無名でしたが

間違いなく天才でした。

3.自称弟子となる

お湯飲みができたと言うことで

また師匠の家に

同じ学校に勤める友達と

2度目の訪問をしました。

5つ揃いのお湯飲みが

5セットあって

好きなのを選ぶように言われました。

白く美しいのを選びました。

15千円で譲ってもらいました。

それまで器に

そんなお金をかけたことがなかったので

私としては思い切った買い物でした。

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初めて買った師匠の作品のお湯飲み(5つのうちの1つ)

でも後でその5つ揃いの湯飲みは

材料費だけでも

そんな値段で買えるものではないことが

わかりました。

その日に工房を見せてもらって

お孫さんの作品が

乾かしてあったのをみて思わず

「私も作ってみたい。」

と言ってしまいました。

そうすると師匠が

「今度作りに来るといい。」

と言ってくれて

友達と二人でまた

お邪魔することになりました。

それから1か月後くらいに行って

「手捻り」を教えてもらって

初めての作品を作りました。

無謀にも

おかずを盛る大きな器に

挑戦しました。

だんだん広がっていくやら

厚さが違ってくるやらで

うまく形になりませんでした。

師匠がほとんど仕上げて

素敵な器になりました。

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右の奥が私の作品。あとは師匠作(花瓶以外)

師匠は「あんたが作っていて

器がそうなろうとしていたように

自分は手を入れた。」

と言ってくれました。

この日から私たちは
師匠の弟子になりました。

そのとき一応私が作った器は

人が来るといつも見せたり

料理を盛ったりして

作ったのは自分だと自慢します。

その後も同じ友達と

師匠のところに陶芸をしに通いました。

師匠に「何で出来んのか不思議に思う。」

と呆れられながら

同じような器や

お皿やカップや一輪挿しなどを

二人でせっせと作りました。

どれも師匠が直してくれて

立派なものになりました。

才能のなさを思い知りましたが

土を触るのはとても気分が良かったし

何かを生み出そうと

集中している時にとても

満たされた気分でした。

作業が終わって

師匠の器でお茶をいただきながら

師匠の話を聞くのも充実した時間でした。

師匠は器を作る時のこだわりや

美術館などで見てきた器についてや

器作りの思いなどを話してくれました。

友達と二人で

師匠の都合がつくとお邪魔していました。

4.師匠の個展

師匠の個展が

私たちが弟子になってから2回ありました。

弟子としては

個展のお手伝いは当たり前なので

2回とも受付をしました。

どちらも期間は1週間くらいありましたが

私たちががお手伝いできたのは

土日の2日間だけです。

1回目の時は

息子さんの絵画作品も

展示してありました。

その時知ったのですが

息子さんは大学で

美術を教えられていました。

息子さんの絵はどれも

幾何学模様のようなものが

緻密に描かれている

デザイン画のような絵でした。

師匠の作品は

私が見たことがないものも

たくさん展示してあって

見たらどれも欲しくなる感じでした。

器だけでなく

花器もありました。

大きな壺や

抹茶茶碗が見事でした。

展示の時間が終わって

師匠と話していて

展示作品の中で

私がとても好きだと思ったものを言うと

「あんたも少し目が高くなった。」

と褒めてもらって

嬉しかったです。

即売もしたので

最終日までにほとんど

売却済になっていました。

私もその好きだと言った

とても美しい抹茶茶碗を

一つ譲ってもらいました。

それと同じようなお茶碗がもう一つあって

私がとても好きだと言った時

師匠は「一つはあんたに譲ろうと。」

と言って取っておいてくれました。

一つはお茶の先生が15万円で

買って行きました。

師匠の奥さんが

その器が生まれるまで

師匠が何度も壊しては作り続けたことを

教えてくれました。

だから私はその時

15万円を出しても

その器が欲しいと思っていました。

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師匠の抹茶茶碗

でも師匠は私からは

2万円しか受け取りませんでした。

個展を手伝ってくれたからだと言いました。

本当に恐縮しましたが

ありがたくいただきました。

その器は私の宝物です。

2度目の個展は4年前です。

この時に展示したのは

抹茶茶碗だけでしたが

見事な作品がたくさんありました。

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2度目の個展の手伝いのお礼だと言っていただいた抹茶茶碗と師匠が私のために作ってくれた花瓶と小物たち

師匠はこの時

「いろんな人にずっと

個展をしてくれと言われていたけど

あまりこういうことは好きではないので

ずっと断ってきた。

でももう個展のようなことができるのも

今回で最後だと思うから

やることにした。」

と言いました。

私と友達はそんなことをいう師匠を

「後何回個展されても

また二人でお手伝いに馳せ参じます。」

と言って笑い飛ばしました。

でも師匠は次の個展をすることなく

その2年後に亡くなりました。

5.芸術を愛する心

私は師匠のところに

陶芸を習いに行く他に

師匠の作品ができると見せてもらったり

気に入ったものがあると

譲っていただいたりしにも

行っていました。

お皿やおかずを盛る器など

たくさん集めました。

師匠の作品を

手に取って見るのが好きでした。

「手にしっくり馴染む器」を作る

というのが師匠のポリシーでした。

器を見せてもらいながら

師匠のウンチクを聞くのが好きでした。

師匠は遊び心もあって

気が向けば

面白いデザインの花器や

時にはブローチや人形も作っていて

それらを私と友達のために

作っていてくれることもありました。

そうやって

私の家に集まった師匠の作品は

全て私の大切な宝物です。

師匠の器におかずを盛ったり

お茶を淹れて飲んだりするとき

手に取ってしばらく眺めていると

師匠の言葉が思い出されてきます

「器は使ってこそ生きる。

使っていくうちに色も良くなっていく。」

というのは師匠がよく言っていた

言葉です。

師匠との出会いで

私は陶器が好きになり

美術館などに展示された

歴史的な器を見る目も養われました。

そしてさらにそれは

芸術品を理解し

その美しさに惹かれる心へと育ち

芸術品を愛する心を

もつことができるようになりました。

師匠の器を生み出す心を知り

芸術を生み出す人の心にも

思いを馳せるようになったからです。

人のつくったものは

自然の美しさには敵わないと

言われるように

自然は本当に美しいものを生み出して

私たちを感動させてくれますが

人がその人生を賭けて作るものも

本当に美しいです。

あなたはそう思いませんか。

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