こんにちは。キラです。
前回の記事では
アメリカのドラマで描かれた
アスペルガーでサバン症候群の
男性の話を書きました。
今回は私が直接かかわった
アスペルガーの生徒の話をします。
1.アスペルガーの子どもとの初めてのかかわり
学生の頃から
アスペルガーについては
ある程度知っていました。
仲の良かった同僚が再婚した相手の
当時4歳の子どもが
アスペルガーと診断されていました。
友人はその子のことを
全く人の気もちとか感情とかを理解しない
と言っていました。
その子は実母のことが
好きだったし
友人にはなかなかなつかないようでした。
彼女から色々と話を聞いたり
相談を受けたり
何度かその子に会ったりしていたので
アスペルガーについて
具体的にも知るようになりました。
その子は義理の母である私の友人にも
もちろん何度か会った私にも
全く関心がないように見えました。
彼女はとても苦労をしていました。
その頃の私はアスペルガーの人が
生徒や知人が周りにいるとは
思っていなかったので
アドバイスなどできるはずもなく
ただ彼女の話を聞くだけでした。
その友人の義理の息子のアスペルガーは重度でしたが
発達障害のことを知るようになると
教師には
程度の軽いアスペルガーの人がわりといることや
クラスの生徒にもいることがわかってきました。
アスペルガーについてよく知らない時は
ちょっと変わった空気を読めない人と
思っていました。
彼女はご主人の都合で
仕事を辞めてアメリカに住むようになって
彼女との関係は途切れてしまったので
現在のことはよくわかりません。
2.Kというアスペルガーの生徒について
ある中学校のクラスを担任した時に
アスペルガーの男子生徒がいました。
その子はKと言いました。
Kがアスペルガーであることは
生徒の個人資料には
書いてあったと思いますが
お母さんから懇談で話を聞くまで
全く意識していませんでした。
Kはクラスの中でも
中心的で目立つグループにいました。
いつも楽しそうに
友達とつるんでいるように見えました。
それは強い子たちのグループで
弱い立場の生徒に
平気でプレッシャーをかけたり
陰でいじめたりしていました。
Kはいじめには
加わりませんでしたが
その場面でも一緒にいることがあって
そこでもにこにこしていたので
いじめられている側にとっては
いじめの一派に見えることが
あったと思います。
Kはとても学力が高く
テストの点数は学年トップでした。
体育の実技が苦手なので
保体のテストの点は良くても
体育の成績が下がるので
成績では常にトップというわけでは
ありませんでした。
懇談でわかったのですが
体育の成績だけが
10にならないというのが
Kとお母さんの悩みでした。
3.Kの母のアスペルガーへの挑戦
7月の最初の懇談で
分厚い何冊ものノートを
お母さんが持ってきました。
そしてその時改めて
Kがアスペルガーであることを
認識しました。
お母さんはアスペルガーについて
様々なセミナーや書籍や
あるときは医師に直接聞いて学びました。
そしてお母さんは
彼が幼稚園に入園してからずっと
毎日あったことを丁寧に聞いて
一つ一つ対応の仕方を教えるということを
続けてきました。
彼は記憶力が優れていたので
場面に応じた対応を
一つ一つ記憶していきました。
お母さんはその結果についても
詳細をKに聞きました。
お母さんは
それらのことをずっと記録し続けていました。
お母さんが持ってきてくれたのは
最近の1年間の記録でした。
懇談の時お母さんに頼んで
そのノートを借りました。
トラブルの記録は
特にとても詳細にわたって書かれていて
お母さんが場面や相手を分析して
Kに細かく対応を教えているのが
よく分かりました。
彼は相手の気もちになることや
相手の感情を理解することはできないので
言葉やその調子や表情を一つ一つ覚えて
それぞれに対応する
言動も覚えていくのです。
お母さんにとっては
彼の学力を高めることが最優先でしたので
学習の障害にならないように
学校生活を過ごす必要があります。
そのための手段が
強い生徒たちと行動することでした。
そしてそのグループのメンバーに
変わっている人と思われないように
話を合わせたりいつも行動を共にしたり
時には要求に応じたりしながら
グループの中であまり前に出ないように
していることが必要でした。
だから彼の言動は
全てそのような方向を向いていました。
それで安泰だったわけではありません。
グループのボスに
お金をねだられて渡したり
いじめに加わったとして
指導されたりするようなことも
あったそうです。
Kはあったことを
お母さんに報告することが日課でしたので
学校からの連絡の前に
お母さんは出来事を知ることに
なっていました。
しかも彼は
教師から言われたことや出来事を
細かく覚えて正確に
自分の思いや考えをはさまずに
説明できます。
それをお母さんは
例の如く逐一書き取るのです。
お母さんはいじめに加わったときは
何がいけなかったのかを
具体的に教え
すぐにKを連れて謝りに行きました。
お金の件では
相手が「貸してくれ。」というので
貸したつもりだったようで
しかも親に言うなと言われて
それを守っていたので
発覚が遅れたようでした。
最終的な金額は数万円だったそうです。
お小遣いがすぐなくなることに
気付いたお母さんが聞くと
Kが全て話したのでわかりました。
この時はお母さんは
学校に相談したようです。
教師が指導してうまく収まり
Kのグループでの立場も
変わらなかったようです。
ボスは母子家庭で
ボスのお母さんはサバサバしたいい人で
ボスもお母さんが好きだったので
お母さんがボスに「友達を大切にしなさい。」と叱って
それ以後Kはボスから
お金の被害には合わなくなったのだそうです。
4.中学校時代のK
私が担任したクラスに
そのボスもKもいました。
何で一緒にするのかと思いましたが
Kのお母さんが希望したようです。
ボスは表面的には
特に教師の前ではいい子で
何も言わない弱い子を
陰で蔑んでいじめるような生徒でした。
周りの生徒たちは
そのボスがこわくて
いじめがあっても言わないし
そのボスは確固たる証拠がないと
本当のことは決して言いませんでした。
そんなボスと小判鮫のような子分二人と
ボスの次に力をもった
ボスよりも人間的に危ない感じの生徒とKとの
5人でグループをつくっていました。
私が生徒でも絶対関わりたくない人たちだと思います。
私は転勤してきて
その学校に赴任したばかりでしたが
生徒たちも1年生だったので同じような条件でした。
その学校は市内でも成績が上位で
生徒にも教師にもブランド意識がありました。
全学年20以上あるクラス全てに電子黒板があって
ICTを活用した授業では先進校でした。
お陰で鍛えられて
授業でICTを駆使できるようになりました。
そんな学校なので
生徒はやたら内申点を気にして
いい高校に行こうと懸命でした。
というより
他の学校よりその学校の方が学力が付くし
その学校で内申点が高かったら
高校も選び放題くらいに思っているようでした。
だからそのボスグループも
教師の前ではいい子でした。
問題行動で指導を受けたら
内申点が下がると思っていたからです。
Kはそのグループで物静かな感じで
勉強ができるので
グループのみんなから一目置かれている感じでした。
そのグループはやっぱり中学校でも
弱い子をいじめていましてが
Kはそれにはかかわらないようにしているようでした。
彼らはターゲットの生徒に
通り過ぎる時に
あだ名やバカにする言葉を
口々に言っているようでした。
巧妙に隠したいじめでしたが
ある生徒のおかげで
早い時期に知ることができて
取り組みましたが
その取組もボスの話と共にまたいつか書きたいです。
そのいじめられている女の子が
グループの中でKだけ何も言わないと言っていました。
そしていじめの場面ではなるべく
いないようにしているようでした。
そしてやはりKは常にテストの点数はトップでした。
Kはいつも柔らかく笑って
優しくて
勉強ができて
目立つグループにいるので
一目置かれる存在で
グループでも大切にされていました。
Kは処理できないことが起こると
パニックを起こすのではなく
ぽろぽろと涙を流しました。
彼にとっては
「悲しい」のではないのかもしれませんが
そう思わせる涙でした。
彼は本当に感じのいい生徒に見えました。
5.アスペルガーの支援における可能性
Kのお母さんは見事に彼を
優等生の見本のような子どもに育てていました。
将来的にも彼の経験にない出来事が
起こっていくのだと思いますが
かれはお母さんと二人三脚で乗り越えて行くのでしょう。
そして彼が独り立ちするころには
コミュニケーション力も磨かれ
人間関係に支障なく過ごせるようになっているのでしょう。
そんな可能性を思わせるものが
彼にはありました。
私はこの親子とのかかわりで
アスペルガーの子どもの
支援による可能性について学びました。
アスペルガーの人の記憶力を武器に
場面や状況や人の反応をセットにして
その場合の対応を一つ一つ教えていけばいいのです。
適切な対応ができると
周りからは感じの良い人と認識されて
トラブルがおきにくくなるし
人間関係もスムーズになって
生きにくさがずいぶん緩和されると思います。
そんな関係ができると
深く付き合う人にも
自分を開示して支援も頼みやすくなるし
理解されやすくもなると思います。
この学校で学んだことを生かす機会は
思ったより早くやってきました。
私はわずか一年でこの学校を転勤して
特別支援学校に赴任することになりました。
次の記事では
私がこの記事のK親子から学んだことを
自分のクラスの生徒に生かした話を書きます。
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あなたはアスペルガーの人とかかわったことがありますか。
「あります。」でも「ありません。」でも
一言でいいし
簡単な質問でもいいので
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