学習障害(LD)という発達障害を理解する〜算数障害(ディスカリキュリア)

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こんにちは。キラです。

学習障害(LD)について書いています。

今回は算数に障害がある子どもの話です。

目次

1.算数障害(ディスカリカュア)とは

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学習障害を3つに分けましたが

最も新しい診断方法では

すべて「限局性学習症・限局性学習障害」と

ひとくくりにされて診断されます。

ディスカリキュリア

ディスカリカュアの人は

数とは何かということや

数の持つ性質

加減乗除などの計算など

算数・数学の基礎的とされることを

理解したり利用したりすることが

難しい状況にあります。

また数や記号を使って

考えて辿り着く推論が

著しく苦手です。

そのため数の感覚

数学的事実の記憶

数式の理解

計算の正確さや

数学的数理の正確さといった

算数・数学面での困難さがあります。

この場合も表面的に見れば

算数嫌いとか苦手とかの状態ですが

何かが理解を妨げている

といった感覚です。

単に苦手というようなものとは

質的に異なる困難を伴います。

ディスカリカュアの具体的な症状

具体的には例えば

・簡単な数字や記号を理解しにくいや

・繰り上がり、繰り下がりが理解できない

・数の大きい、小さいがよくわからない

・文章問題が苦手、理解できない

・図形やグラフが苦手、理解できない

というふうな症状があります。

でもディスカリキュアの症状も

人それぞれという面があります。

デイズカリキュアはとくに

また周りから算数が苦手で

怠けていると見られがちです。

本人も「がんばっているのにできない

自分はできない子」

という感情が芽生えやすい

面があると考えられます。

今回も

私が今年の3月まで

特別支援学校の高等部で

担任していたYという生徒の話です。

彼は療育センターでLDと診断されました。

2.Yについて

中学校までのY

Yは中学校3年生の中頃まで

普通学級の生徒でした。

そんなに優秀というわけではありませんでしたが

数学が苦手な普通の生徒でした。

努力家なので

どの教科もある程度の点数が取れるのに

数学だけ頑張っても

良い点が取れなかったそうです。

Yは簡単な加減乗除算はできましたが

中学校で習うような数学は

ほとんど理解できなかったそうです。

だからテストの前には

問題ごと答えを暗記していたそうです。

だから50点以上取るのには

無理がありました。

でも彼のとっていた点数以下のの生徒は

3分の1くらいは

いるのではないかと思います。

彼が問題ごと覚えて

そのような点数を

取っていたということに

頭が下がりました。

でも高校入試が近づいてきて

彼は数学が理解できないことに

悩み始めました。

数学に関しては

他生徒がいとも簡単にできることが

自分にはできないからです。

学校のテストでは

少し点が取れたとしても

入試で取れるとは

彼には思えませんでした。

そして最も彼が劣等感を抱いたのは

アナログ時計が

全く読めないことでした。

小学校の時に

簡単な計算は

何とかできるようになりましたが

時計は

簡単な時刻も

なぜか読み取ることができませんでした。

時間の概念がないわけではなく

デジタル時計を見て

時刻の計算はできました。

学校の時計は全て

アナログなので

不自由だったと思いますが

何とかごまかしながらきたようです。

でも入試のプレッシャーと

数学へのコンプレックスとが相まって

時計が分からないことが

自分が他の人と違うという不安と恐怖となって

彼にのしかかってきました。

絶望感に苛まれたYに

自傷行動が出るようになりました。

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両親はたいそう心配し

療育センターに相談に行きました。

療育センターでYは

LD(学習障害)と診断されました。

両親は学校の勧めで

彼を特別支援学級に

入れることにしました。

そして高校への進路も

普通校から特別支援学校高等部に変更しました。

高校からのY

最初はYが

特別支援学校にいることに

違和感がありました。

精神的にも安定していて

理解力が高いからです。

人格的にも優れていました。

真摯で誠実で

優しくて思いやりの深い人でした。

以前の記事で書いた

自分より弱い生徒を命令して使う

ADHDの生徒が

Yを尊敬して慕っていました。

Yは特に運動能力、作業能力

国語的な力は

確実に平均を上回っていました

特に文章表現力には秀でていました。

2年からは

学級代表も引き受けてくれ

リーダー性も発揮しました。

3.Yの指導

強みを伸ばす

特別支援学校の優れたところは

一人一人個別の支援計画を立てて

一人一人の生徒に合った指導ができ

そのため自由に授業の指導案を

考えることができることです。

年間のカリキュラムはありますが

進捗状況とか達成度とかの縛りが少ないので

その生徒生徒のとくせいにあわせて

的を絞ってじっくりと指導することができます。

私はYに関しては

まず得意なことを

伸ばしていこうと考えました。

彼の国語力を高めることとを優先課題としました。

具体的には書かれたことや話されたことを

理解する読解力を付け

自分の考えを自分の言葉で

相手に伝わるように論理的に書く力と

自分の気もちを

美しい情緒的な日本語を使って

表現する力です。

本を読むことをすすめる

彼はそれまで

本を読む習慣がありませんでした。

勉強についていくことで

精一杯だったから

本を読む余裕がなかったようです。

彼が本を読みたいと思うように

機会を見つけては

私が興味深いと思った本の話をしました。

私たちの学校には

1か月に1回移動図書館がやってきました。

そこへもクラスのみんなで行って

色々話をしながら

みんなで本を選びました。

彼は次第に読書量が増え

本好きになっていきました。

両親の買い物について行っては

本を買ってもらうようにもなりました。

読書量が増えただけでなく

ジャンルも多岐にわたり

難解なものも読むようになりました。

彼と読んだ本の話を話題にして

よく話をしました。

感想文も書かせました。

小説を読んだときは

作者の思いを汲み取り

自分なりに表現することができました。

彼が本から多くを学んでいるのが

よく分かりました。

書く力を付ける

書くことに関しては

日々の記録で文章指導をする一方で

機会があるごとに

作文やレポートコンクールに挑戦させたり

自分で文章を作らせ

多くの人の前で取組を発表したり

アピールなどの発表をしたりすることを

担わせたりしました。

Yはいくつかコンクールで

入賞しましたが

「未来のためにできること」

というタイトルの市の作文コンクールで

最優秀賞を獲得しました。

優秀賞は

公立高校の普通科の生徒でした。

一般の高校生の応募作品と競って

最優秀賞を取ったのです。

これは彼の大きな自信となったようでした。

Yは最後まで

アナログ時計は読めませんでした。

でも中学校と違って

常にデジタル時計を付けているので

日常生活では

全く不自由はありませんでした。

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4.人を理解するということ

学習障害と支援

LD(学習障害)の人の支援は

周りがその人の困難さを正しく理解し

決してその人の怠慢さのせいにしないで

適切な支援の方法について

情報を共有することが大事です。

LD

根本的な治療方法がない一方で

具体的な支援方法はあると考えられ

さまざまな支援の方法が考えられています。

合理的な配慮という視点からも

学校や社会などの生活の場も

必要な対応をしていくことが

大切になると言えます。

以前の記事で書いた

ボランティアの事例のように

母親の言葉に耳を傾けることなく

彼を理解しようともせず

支援を断る学校があってはいけないのです。

支援と可能性

最初内気で

少しおどおどとした感じだったYは

笑顔の似合う素敵な青年になって

下級生の憧れの先輩になって

卒業していきました。

彼の第一志望だった

小さいけれど社員を大切にし

業績も上がり続けている

ものつくりの企業に

望まれて就職しました。

子どもたちが未来の社会の担い手です。

こどもたちの可能性を広げるように

こどもたちを理解し

適切な支援をしなければならないと常に思っています。

彼を担任した時

彼なら一般高に入れるのに

高卒の資格も取れない

特別支援学校を勧めた

中学校の判断を誤りだと思いました。

中学校の教師の時

ASD(自閉症スペクトラム症候群)

Yよりも数学的な力だけでなく

全般的に能力が低かった生徒がクラスにいました。

彼はある私学の情報科に推薦で入学しました。

彼が卒業してからも

お母さんが何度か手紙をくださっていました。

彼は専門学校に進学して

希望した企業に就職して

毎日休むことなく仕事に行っています。

お母さんは手紙でいつも

高校生活で彼が力をを付け

将来に希望が持てたことを喜んでおられました。

Yにも普通校に行くという

選択肢もあったと思います。

担任の判断によっては

彼の進路指導が違っていたと思うからです。

だから今でもYが

特別支援学校で学んだことが

正解だったかどうかはわかりません。

理解するということ

でも両方の生徒に言えることは

家庭にも学校にも

彼らを肯定して支える環境が

あったということです。

だから高校卒業後二人は

自分で選んだ進路に向かって

自信をもって進むことができました。

これまで学習に関して

自己肯定感が低くなってしまった生徒を

たくさん見てきました。

その子たちは

勉強がわからないことで

荒れてしまったり

自信のない雰囲氣が

いじめの原因となったりしていました。

その生徒たちの中に

LDの生徒がいたかもしれません。

周囲の人たちが彼らを理解し

彼らにとって適切な支援や

適切な学習方法を知っていたら

彼らの可能性は

広がっていたかもしれません。

また彼らが自分を肯定的に見ることができ

彼ら自身が自分の状況を理解して

支援を求める力を付けることができていたら

彼らはもっと

生きやすかったのかもしれません。

これを書くことによって

相手を理解することの大切さと

相手に理解を求める大切さを

強く思いました。

個人だけの問題ではなく

社会全体にもそういう視点が

広がっていくことが

助け合う社会への道だという当たり前のことを

確認することができました。

まず身近な人たちの話に耳を傾けて

理解することから始めてみませんか。

そして自分に助けが必要なときは

まず自分の気もちを整理するために

誰かに話を聞いてもらったり

自分に必要な助けについて

相談したりしてみませんか。

この記事について話がしたい人は
メールをどうぞ。
または次のフォームからでもいいです。

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